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第六話「蛇の面とベルゼさん」

私はベルゼブブ。ブタを模る豚の面、暴食を与えしもの。

私が趣味でやっている畑から沢山の野菜を収穫できましたので、今から有志を誘い夕食を作ろうかと考えています。

まず、いつも美味しそうに野菜を食べてくれるアスモデウスは間違いなく呼ぶべきでしょう。まあ彼は正直岩でも何でも美味しいと言うので実際のところは分かりませんが・・・。

あとはマモンを呼びましょう。彼も金のことしか考えていませんが、比較的話の通じる相手です。この畑のことも「よぉく出来た畑だぁ、これは金になるぜぇ(モノマネ)」と褒めてくれていましたし。・・・よし、LINEEでグループを作ったのでしばらくすれば来るでしょう。あと一人ほど呼びたいところですが・・さあて誰を呼びましょうか。おや?あそこにいるのは・・・


「あら奇遇ね、お元気?ベルゼブブ」

「あなたは蛇の面ではありませんか。こんなところでどうされましたか?」

私に話しかけてきた彼、いや、彼女は蛇の面。蛇柄の服やカバンを身に着けているので私がそう呼んでいます。

「ま、今日も素敵な羽ね?アタシがやってる店で取り扱えないかしら。」

「残念ですが、予備などもありませんので諦めてください。これは世界にひとつだけなので」

「そうなのね、じゃあ世界にひとつだけってポップをつけたら相当高く値を付けられるわね。」

「今背筋がゾッとしたんですが」

冗談よ、と笑う蛇の面。彼女はいつも冗談をいうのですが顔が真剣と書いてマジなんですよ・・。

蛇の面はふと私の横に置いてある野菜に気が付いたようです。


「これはどうするの?どこかに運ぶなら手伝ってあげましょうか?力仕事には自信があるの」

「確かにあなたでしたら一回で運べるでしょうね、助かります。」

「ああん?誰が男みてぇな体型だって?!」

「言ってないし。あなたが力仕事に自信があるって言ったんですよ」

「そうか間違えちまったな。・・・ちょっとぉ!どこ見てんのよ!このスケベ!」

「だから」

冗談よ、と笑う蛇の面。もうその笑みも「(意味深)」ってついてますよね絶対。


「がーっはっはっは!これはこれは珍しい客人ではないか。」

「なんだあ?俺ぇとデウスのじじぃだけじゃあねえのかぁ?」

丁度アスモデウスとマモンがやってきたようです。

「あらあら、こんなに悪魔さんたちが揃うのも珍しいんじゃない?」

「がーっはっはっは!仲の悪いものは悪いが良いものは良いのだよ蛇の面。」

「あたりめぇのことをなぁにカッコつけてぇ言ってやがるデウスのじじぃ。」

「恰好をつけたつもりはなかったんだがな?ついてしまったものは仕方がない!がーっはっはっは!」

「ところであなたたちはどうしてここに?」

「ブブが野菜を取ったってんでぇ、食おうって話ぃになっただけだぁ。」

「蛇の面もわしらと一緒にこれば美味い野菜が食えるぞ?がーっはっはっは!」

「まあ、それは嬉しいわね。是非ご一緒させていただくわ?」

「決まりだなぁ?じゃお前が野菜持てよぉ?蛇の面。俺ぇの可愛い肉球じゃあ掴めねえからなぁ」

「わしは力が強すぎて潰してしまうからなあ。頼んだぞ?蛇の面!がーっはっはっは!」

「仕方ないわね。その代わり野菜は多めにいただくわよ!お肌の調子を整えなきゃ!」

わいわいガヤガヤと畑を離れていく悪魔と人の子。

いや・・・え?私一言もしゃべってないんですが。

この段落13もセリフがあって喋ったの一回もないんですが?ん?あれれ?おかしいぞお?(モノマネ)

後でLINEEで「豚の面スタンプを連打の刑」を執行してやる・・・。


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